好きにさせて
第13章 不通
茜が
徐々に落ち着きを取り戻し
呼吸が静かになると
茜を寝かせて
枕元にひじをつき
俺は
茜の顔を見下ろすようにして
横たわった
「大丈夫か?」
「…ん…」
「こんなになってしもうて…」
俺は
乱れた茜の髪を綺麗に撫で
涙で濡れてしまった頰を
手で拭うと
布団を握りしめてる
茜の手を
優しく包んだ
「なぁ…」
「……」
「俺のこと
いつから好きやったんや?」
今日
子供のことを
話す必要はないと思った
ただ
穏やかに
嘘のない話を
すればいい
今まで
隠していた
『想い』を
ただそのままに伝え合い
それで心地よく
茜が深い眠りに
ついてくれたら
「いつ…かな…」
「中学の時
好きやったか?」
「…ん〜…」
「誤魔化すん無しやで?
俺、全部白状したんやから」
「……好きだった」
「ほんまに?」
「…うん」
「そーかー
ほなあん時告白してたら
OKやってんなー
惜しいことしたなー」
「ごめんね?
連絡しなくなって」
「いや
かまへんよ。
よう考えたら
茜の気持ちが
今このタイミングで分かって
良かったんかもしれん」
「……」
「あん時付き合うても
多分数年で別れてしもたり
したんやないかなぁ…
高校生やし。
今やから
俺が茜にできることも
あの時より
増えてるやろうし」
ほんまは
そうやなくて
今このタイミングやから
これから一生
茜と一緒におれるかもしれへん
と言いたかったけど
それは
あまりに重いと
思われそうで
言われへんかった
「まぁでもちょっと
惜しい思うこともあるなぁ」
「なに?」
「茜の最初の男に
なられへんかった」
茜は
どう返事したらいいのか
分からないという
顔をして
俺から少し
視線を外した