テキストサイズ

好きにさせて

第13章 不通


「まぁええか。
今の方が俺
上手なってるし(笑)」


「もう」


少し
茜の声が明るさを
取り戻した


「なぁ、茜」


「ん」


「もうちょっと触ってええか?」


「…うん」


俺は
茜の頰を手の平で
優しく覆い

それから
布団の中に手を入れて
茜を抱きしめた


「あぁ……茜や…
…気持ちえぇ…」


すると
茜も
俺に抱きつき

お互い

どちらともなく
足を絡めた


茜が
俺を好きだという事実は
こんなにも
心地いいのか…と
今更ながら実感する

今まで
どんなに茜が甘えても
どんなに
屈託のない笑顔を見せても
心の底に
どうにも動かせない
重い石があるような
そんな気がしていた


でも今

もうそれは
無い


茜も

俺を好きなんや


「尚…」


「ん?」


「寂しかった…」



「…俺もや」



その後
そばらく会話はなく
俺達は
まるで無くしていた
身体の一部を見つけたように
愛おしく
お互いの身体を
確かめ合っていた


時々

想いが高まって
ぎゅーっと
抱きしめたり


指一本一本に
優しく触れたり…


茜が
俺の顎髭を触ったり


そんな
セックスへと
向かうのとは違う
触れ合いを
続けていた

ストーリーメニュー

TOPTOPへ