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好きにさせて

第14章 結婚

Side 茜


「やっぱり
俺を選んで良かったと
茜に思うてもらう人生に
したいんや。

俺の気持ち

わかってくれるか?」


尚の
真剣な眼差しに
心が揺れそうになる

私だって
尚に選んで良かったと
思ってもらえる人生を
送ってみたい

でもね

尚が
大好きだから


だから


「尚…」


「甘えてええんや」


「……」



「俺が相手やったら嫌か?」


「そ、そんなわけないじゃない」


咄嗟に私の口から
その言葉が
こぼれ落ちていた


そんなわけない

甘えたいよ

甘えたいに
決まってるじゃない


いつも
不安で不安で
仕方ないの


だから
尚が側にいてくれたら
どんなに嬉しいか…


尚が好きだから

尚が大切だから

尚を
苦しめたくないだけ


じっと見つめてくれる
尚が好きよ
優しく髪に触れてくれる
尚が、好き


「尚が…好きよ

だから

尚が言ってくれた言葉全部
夢みたい


でもね、尚」


やっぱり
辛い思いするのは
一人でいい

私一人が我慢すれば
いいことだし
尚や尚の家族まで
苦しませたくない


そう言葉にしようとした時


「ほな甘えてみたらええ」


尚はそう言って
私を見つめ
クスッと笑いながら
私の頬に優しく触れた


「茜が今考えてることは
分かってんねやで?

いったいお前は
どこまで一人で
頑張るつもりやねん(苦笑)

俺の性格知ってるやろ?

ほっとかれへんねん

茜のこと」


「尚…っ…」


尚のその言葉で
一気に涙が込み上げ
私は、目の前の尚を
見る事ができなくなってしまった


『考えてることは
分かってる』

『いったいどこまで
一人で頑張るつもりや』


私を理解してくれるのも
そんなことを言ってくれるのも
尚しかいない

尚みたいな人には
もう
巡り合わないかもしれない…

そう思うと
尚に
側にいて欲しくて
甘えたくて
たまらない


どうしよう



ひどいこと
考えてる

尚を


巻き込もうとしてる


あっ…


尚が私をしっかりと
抱きしめ
私の耳元で囁いた


「お前が嫌や言うても
もう…離さへん」



…っ…尚…




「……助けて…尚」

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