好きにさせて
第17章 最終章…好きにさせて
「わぁ!綺麗…」
イルミネーションの点灯は
もう始まっていて
日の暮れるのも早いからか
前に見た時より
イルミネーションは眩しく
キラキラして見えた
「ほんまやなぁ…
前より綺麗な気いするわ。
ここ、座ろか」
「うん」
周囲には
チラホラとお客さんもいて
もちろん子連れの家族も
ベンチに座ってる
けどなんやろ…
俺は
前に来た時とは
全然違う気持ちやった
家族や子供がおっても
前みたいに
変な気をつこうてないというか…
「マーマー」
その時
前を歩くお母さんを追いかけて
俺達の前を小さな子供が
走り過ぎようとした
「あっ!」
その子は
ちょうど目の前で
転んでしまい
俺は思わずベンチから
腰を上げようとすると
「大丈夫?」
俺より先に
茜が女の子に駆け寄り
その子を起き上がらせていた
「うん」
「泣かないの、偉いね」
「うん!」
走り去る女の子を見ながら
茜は
俺の隣にまた腰掛け
微笑ましい顔で
話し始めた
「子供を産めたなら…」
「ん?」
「もし、尚との間に
子供を産めたなら
どんな子かなーって
よく想像してるんだけど」
「うん」
「前はね
あーゆー小さな子供を
想像してたの。
けど最近はね」
茜はそこまで言うと
クスッと笑って
俺の顔を見た
「中学生くらいの
尚に似た子供を想像するのよ?
(笑)」
「おい、それ
やめてぇな(笑)」
「いいじゃない(笑)
関西弁で
ちょっと生意気で
野球少年」
「生意気なんは
茜の方やったで(笑)」
「そう?」
「そうや」
「あのね…」
「ん?」
暗がりの中で
急にうつむいた茜が気になり
俺は茜の手を
握りしめた
「さっき
尚のお母さんに言われた」
「え?何を?
なんか酷いこと言われたんか?!」
えらく心配した俺は
茜の顔を覗きこんだ
すると
茜は小さく顔を横に振って
それからまた
俺から視線を外した
「産めない気持ち
少し分かるよって。
だから…
私を攻めたりしないよって」