テキストサイズ

好きにさせて

第17章 最終章…好きにさせて


「…そぉか…」


「うん」


「俺もな
親父に言われたわ」


「何を?」


「墓のことは
気にせんでええて。
親父らは親父らで
考えるから
俺らは俺らで
どうするか考えろ言うてたわ。
あと、茜の家のことは
親父さんとよう相談せいて」


茜は
ちょっと驚いた顔をした後
少し
暗い顔をして呟いた



「素敵な…ご両親ね…」



「そんなことないわ。
うるさいし
いらんことばっかり言うしな」



「そんなことないよ。
昔も優しくしてくれてたけど
今日も
私に優しくしてくれて…

ほんとに
有り難いって思ったし
嬉しかったし
いい人だなーって…」



茜は
嬉しかったと言いながら

悲しそうな顔をした



「何でも言うてええで」


「え?」


「今思うてること
聞きたいねん」


すると茜は
顔を上げて
イルミネーションを
真っ直ぐに見つめ

俺の手を
ぎゅっと握りなおすと
キラキラした瞳で
呟いた



「こんな素敵な人を

悲しませていいのかな…」



そう言うと
茜は頰に
つーーっと涙を流し
目を閉じて
唇を噛んだ


「ほんまの気持ち
言うてくれて
ありがとうな」


茜にハンカチを渡し
茜の肩を抱いて
俺は
自分が泣きそうになるのを
必死でこらえた

ストーリーメニュー

TOPTOPへ