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好きにさせて

第3章 出張


あ、あかん

待ってるんやから
急いで電話せな


俺は
思わずベットから立ち上がり
茜の番号に指を重ねた


プルルルル・・・


「もしもし・・」


「あ~・・俺」


言葉に詰まるとか
・・俺らしない


「うん」


「なんや急に悪かったなぁ」


「ううん、いいよ」


「返事遅かったから
電話はあかんのか思うてたわ」


「あ、ごめんね?
リビングにいたから
部屋に移動してたの。
それだけ」


「そうか。
ならよかった」


ホッとした俺は
ベットに腰かけ

そして

ゆっくりと
目を閉じた


「ホテル?」


暗闇に届く
ホテルという茜の声に
ちょっと反応する俺の心は
まるで中二で

ただ電話で話してるだけやのに
何年も味わったことのない
もうほとんど忘れかけていた
ときめきを感じていた


「そうや」


「一人なの?」


「あぁ。
今日は珍しく一人なんや」


「どんな部屋?」


「気になるか?
残念ながら
めっちゃ普通の
ビジネスホテルや(笑)」


「そーなんだ(笑)
気になるよ。
温泉とかあるのかなー?とか
何食べたのかなーって」


気になるって
それは…

俺に興味あるからなんか?


「他には?」


それとも

ただ・・旅行に興味があるからなんか?


「部屋は何階で
窓から何が見えるのかなーとか。
おかしいよね(笑)
電話だと何も見えないから
想像しちゃうみたい」


想像してるとか

ほんま


お前は俺を
口説いてんのか?



な訳ないけど

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