好きにさせて
第5章 部屋
「歳上の人」
「と、歳上?」
「うん。できれば
うんと歳上の人がいいの」
「そ、そぉかぁ」
一発目から
アウトやんけ…
年齢とか
どうにもならんこと
言わんとってぇな
「頼りがいがあるとか
そーゆーことか?」
なんとか俺を
茜のストライクゾーンに
入れさせようとしてんのに
「それもあるけど…
若くない人がいいの」
ことごとく茜は
俺をストライクゾーンから
排除した
もう…やめとこ
理想の男の話聞いてたら
凹むわ…
「あ、でも今は
再婚するつもりないから」
そんなん
わかってるけど
付き合うくらいええやんけ
「再婚せえへんかっても
彼氏とか欲しいやろ?」
「そうね…」
茜は
いつものふんわりした
返事をよこすと
グラスに指を這わせて
遊びながら
しばらく黙っていた
何考えてんねん・・茜・・
「いたらいいなって
・・・思う時もあるよ」
「そぉか」
その時茜は
じっとグラスを見つめてたけど
少しその目が
潤んでるように見えた
「淋しい時・・あるもんね」
ほな
彼氏作ったらええやんけ
と言いそうになったが
俺はその言葉を飲み込んだ
それは
俺以外の男を
恋人にするっちゅうことやからや
「淋しい時は
いつでも付き合うたるで」
「うん」
「これマジやからな?」
「ありがと。
・・・ねぇ、尚」
「なんや」
「尚に会えて・・よかった」