好きにさせて
第5章 部屋
そう言いながら
俺に視線を合わせた茜の目は
やっぱり
ちょっと潤んでいて
俺は
猛烈に
茜を抱きしめたくなった
「なんや急に」
「だって・・
淋しい時は一緒にいてくれるなんて
本当に嬉しいし
それに・・」
ほな、いっそのこと
俺と付き合うて…
「尚は
付き合おうとか
結婚しようとか
言わないし」
えっ・・嘘やろ
その言葉は
かなりショックやった
そんなこと言われたら
二度と付き合おうって
言われへんやないか
あかん…
立ち直れそうにない
「ごめんね。
変なこと言って」
「あ、いや、謝らんでも。
茜とおると楽しいし
俺も一人で寂しいから
ちょうどええんや」
と、誤魔化すも
自分の顔が
引きつってる気がした
「あ、でも
彼女とかできたら
ちゃんと言ってね?
迷惑かけたくないから」
彼女?
正直、今の俺には
お前以外
考えられへんわ
「変わってないなぁ」
「え?」
「迷惑迷惑いうて
そんなことばっかり言うてたら
あかんで?
あんまり我慢せんと
たまには迷惑かけたらええねん。
俺にはな」
「尚…」
「俺とお前は
友達以上の仲やからな。
恋人では
ないけど」