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桜花楼の恋

第9章 甦った記憶

・千賀side

今日は朝から郭の中がバタバタしていて大変だ。



ニ「千賀おまえ何をやっているんだよ早く着替えないと迎えが来ちゃうぞ」



あれから俺は、横尾さんと親父のところへ行ったんだけど。



旦那「つまり、それは幕府を相手に大芝居を打つって事ですか?」



驚いたぜ親父のやつ。



横「そういう事になります」

旦那「こりゃ面白い相手にとって不足はない」

千「はっ?」

旦那「いやー実は私、大の芝居好きでして」

横「んっ?」

旦那「本当は自分で一座を立ち上げたいくらいなんですよ、ニコッ」

千「うえぇーっ」



うっそおぉーっ!?



旦那「いいでしょ乗らせて頂きます」

横「そうか礼を言う」

旦那「とんでもございません先様と若様の頼みとあらば、この桜花楼の主なんでも聞く覚悟」



俺、一緒にいなくてよかったみたい、ハハッ



旦那「で、私はなんの役をしたらいいのでしょう」

千「へっ?」

横「あぁー取り合えず今回は戸塚太夫さえ貸して貰えれば」

旦那「‥‥‥」



けど━



千「親父、ニコッ」

旦那「おう健永どうした」

千「元気だせって、フッ」

旦那「わっ、私は別に落ち込んではいないぞ」

千「俺さ親父の息子で良かった、ニコッ」

旦那「何を今更、ほら皆様がお待ちかねだ行って来なさい」

千「おう親父の分まで頑張って来る」

旦那「張り切りすぎて迷惑をかけないようにな、フッ」



初めて知った父親の一面、子供の頃から役者になりたくて、でも黙って郭の跡を継いだこと。



橋「トッツーその格好凄く似合ってる、ニコッ」

戸「そう、フフッ」



本音、俺はこんな所に生まれた自分が凄く嫌だった。

だけど今は、そんな親父の力になりたいと思っている。




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