テキストサイズ

桜花楼の恋

第9章 甦った記憶

横「太輔、よく聞いて」

藤「嫌だ、あいつが遊郭なんかに身売りするなんて」

横「だからって今お前が出て行って素直に金を受け取ると思う」

藤「じゃ黙って見てろって言うの!クッ」

横「落ち着け」

藤「出来ない、そんなの俺には絶対」

横「太輔!」

藤「‥‥っ」



“全て自分に任せろ”わたは俺にそう言い。



横「俺の見たところ、あいつはかなり気質の強いやつだ見ず知らずの者から情けなど受け取ろうとはしないだろ、なら流れに添って行くしかない」

藤「流れ?」

横「そう、フッ」



まずは、俺が父上と母上を説得し。



父「なる程、さすれば気が済み嫁を取る気になると」

母「本当ですね?太輔」



嘘も方便…

わたは北山が売られる先の桜花楼へと行き。



旦那「分かりました、そのような男娼が果たしているかは分かりませんが捜してみましょう」



俺の好みは、北山のような奴だと吹き込んだってわけ。



丸山「そやけど見方を変えれば男娼になってもうたから即、手の中へ ニヤッ」

藤「なんか言った?キッ」

丸「すっ…すんまへん‥」

藤「ふっ」



あぁ、確かに普通に会ってたら今でも俺は叶わぬ想いを胸の中に秘めたままでいたんだろうな。

だったら…



藤「俺は何をすればいい」

丸山「数日後に老中がいらはるとき」



突っ走るのみ。



藤「分かった、その策に乗る。そう伝えてくれ」

丸山「かしこまりました」

藤「それから」

丸山「‥‥っ」

藤「後で、じっくりとそのときの話しを聞かせて貰うとも ニヤッ」

丸山「つまりはそれって」

藤「全く肌に触れなかったわけじゃないだろ!キッ」

丸山「ひえっ、伝えときます!ほなぁーっ…シュッ」



ふっ、ありがと わた俺の代わりにあいつの傍にいてくれて。

北山、必ず会いに行く。

それまで辛い思いをさせてしまうけど待っていてくれ絶対。

俺は、お前のことを手放したりはしないから。

この藤ヶ谷太輔 自分の生涯を賭け約束する、お前を俺の伴侶にすると。

全てを投げ捨ててでも━




ストーリーメニュー

TOPTOPへ