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桜花楼の恋

第10章 切なき逢瀬

・千賀side

ガヤさんを見ていると思う。



宮「千ちゃん」

千「宮田」

宮「これを若様に渡してくれる」

千「分かった」



恋って凄いなぁーって。



千「ガヤさん宮田から」

藤「うわっ、派手な着物」

戸「女形の衣装だからね」

藤「ははっ」



惚れた相手の為なら、親や幕府のお偉いさんの前でもあんな啖呵を切ってしまうんだもん。



丸山「ほな若さんが着替えたら行きまっせ」

千「おう」



しかし、これからが勝負。



玉「亮太、誰が来ても寝たふりをしていてよ」

山本「分かっています、がバレそうになったら声色を使わせて頂きますので」

玉「その判断はお前に任せる」

山本「はっ」



“山本亮太”タマについている忍び。

周囲の眼を誤魔化すため、トッツーは完璧に男の格好をし。

代わりに、ガヤさんが女形の姿となり外へ出たら一座の篭に乗る。

そして、その身代わりをタマがして亮太がタマとなり。



横「太輔、必ず夜が明ける前には戻って来いそれ以上はもたないから」

藤「わたに切腹させるわけにはいかないし」

横「バカ、俺のことはいいさ」

藤「ありがと、ニコッ」

横「早く行ってやりな」

藤「ふっ」



廊下を抜けると。



家臣「そこの男娼、さっさと消え失せろ」

家臣「まったく郭を抜け出してまで来るとは大した度胸だ」

藤「‥‥‥」



一座のみんなが待っていてよ。




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