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桜花楼の恋

第10章 切なき逢瀬

怒り心頭で部屋を出て行く老中たち、それを慌てて追う殿様。



母「太輔、貴方って人は」

藤「申し訳ありません母上、親不孝者の息子で、クッ」



それから暫くし。



父「お前がしたことは由緒ある血筋を汚したのと同じ父が許すまで謹慎しているがよい」

藤「おおせのままに」

父「そこの役者も、なんたる無礼な奴」

藤「父上!」

父「このままでは済まさぬぞ、そこへ治れ」

藤「なりません!」



バッと、俺の前へ立ちはだかり。



父「退かぬか太輔」

藤「心乱すとは一国の主として見苦しい」

父「なにを」

藤「それに、この者は役者ではあらず」

父「‥‥っ」

藤「俺が行った男娼遊郭、一番人気の太夫」

父「なんと!」

藤「斬りでもしたら、それこそ尾張の恥ってもの」



そこへ居合わせたかのように姿を見せる千賀。



藤「よいのですか?ほら郭の息子も見ているというに」

千「‥‥‥」

藤「それとも年端もいかない彼でさえ口を封じるとでも?徳川御三家筆頭尾張の殿が!キッ」

父「くっ」



やっぱり、こいつは凄いや。



父「さっさと屋敷より出て行くがよい」

戸「…はい」



藤ヶ谷って本当に凄いやつだよ北山。



千「やったぁ」

藤「トッツー大丈夫か?」

戸「ちょっと怖かったけど、うん平気、ニコッ」

藤「ふっ」



そして、俺達は次の段階へ移ることにする。



戸「藤ヶ谷、北山が待っている会いに行ってあげて」

千「ガヤさん」

藤「あぁ、ニコッ」



2人を会わせる手立てとし。



藤「タマ」

玉「心配しないでバレたとしても父上が俺をどうこうするとは思えないし」

藤「が、くれぐれも」

玉「分かっている、ニコッ」



弟君である裕太の協力を得て、桜花楼へと向かう為。




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