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桜花楼の恋

第10章 切なき逢瀬

藤「父上と母上は従兄同士だったから周りが、かなり反対したらしい」

北「んでも藤ヶ谷が生まれ跡継ぎが出来たことによって一緒になれたってわけか」

藤「可愛がって貰ったよ母上には、フッ」



そりゃそうだろ、こいつの存在があって夫婦(めおと)になれたんだからさ。



藤「だけど」

北「んっ?」

藤「父上にとっては母上が一番で俺はいつも二の次」

北「それが寂しくて」

藤「しかし小さかったとはいえ自分の我が侭でタマの全てを変えてしまった事に変わりはない」



藤ヶ谷…



藤「俺には、あいつの幸せを見届ける責任がある」

北「ふっ、お前はそういう奴だわ」

藤「北山、フッ」

北「他には、なんか隠していた事があるのか?」

藤「もう、ご破算になった話しなら」

北「んっ?」



なっ、将軍跡目相続だって。



藤「ってわけで俺は父上の怒りをかってしまい」



だから今日一日、周りの様子がおかしかったってわけか。



北「えっ、ちょっ、待ってじゃ」

藤「ごめん自由に会えるようになるまでにはもう少し時間が掛かりそう」

北「‥‥っ」



謹慎命令を食らってしまったから、藤ヶ谷は申し訳なさそうな顔をし俺に言った。



北「んだか」



でも仕方がない、横尾さん達の策に乗らなければ確実にお前は俺の手の届かない所へ行ってしまったのだから。

だけど━

それじゃ、今度はいつ会えるのかも分からないってことになる。

ギュッ!




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