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桜花楼の恋

第11章 心の架け橋

・河合side

その日、宏光の慟哭に包まれながら朝を迎えた俺達は。



河「やっと眠ったな」

五「まるで一生分の涙を流しているみたいだった」

塚「俺達も少しは寝よ」

戸「この3人はとっくに寝ちゃっているけどね」



布団の上で、その身体へ寄り添うように眠っている健永と二階堂。

ハッシーを見ながら、トッツーが言う。



河「目を覚ましたら驚くんじゃね?クスッ」

宮「みんなキタミツの事が大好きなんだよ、フッ」

五「護りたいな、どうにかして」

戸「今夜は横尾が来るんでしょ?」

河「そう聞いてる」

宮「明日は俺、ニコッ」

五「俺らも協力できたらいいんだけど」

塚「ちょっとキツイかも」



仕方ないって、男娼を一晩買うのってけっこう銭が掛かるし。

でも、なんとかしないとトッツーと違い太夫じゃない北山に客を選ぶ権利はない。

このままじゃ、他の客を取らされるのも時間の問題だろうから策を練らなきゃさ。

昼すぎ、目を覚ましたら五関と塚ちゃんは既にいなくて。



戸「起きた、ニコッ」

河「おう」

戸「ねぇ河合」

河「んっ?」

戸「俺も前向きに考える事にした」

河「なにを?」

戸「身請けの話し」

河「えっ」

戸「いつまでも五関たちに甘えてられないし、フッ」



トッツーが、突然そんな事を言い出してよ。



戸「あの人と話しをしてみようと思うんだ」

河「それって親父さんか」

戸「うん、後ここの旦那とね」

河「なんて?」

戸「言うだけ言ってはみるけど、たぶん博打をやめる事はしないと思うから」



もう金を貸さないでくれ、そう頼むつもりだと。



河「そっか」



自分でもいくらになっているか分からない借金、これ以上は増やしたくない。

そりゃそうだ、こんな状態がずっと続いたら俺だって堪らないし。



河「けど、どうして急に」

戸「北山と藤ヶ谷を見ていて、あの2人の問題に比べたら自分なんて」



そう思ったら━



戸「後ろ向きでいるのが恥ずかしくなってさ」

河「トッツー、フッ」

戸「だから、ねっ」



ギュッと強く抱きしめる。




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