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桜花楼の恋

第11章 心の架け橋

横「そうやって助け合いながら生きてこその仲間なんじゃないのかな」

北「仲間…か‥いい響きだわ…フッ」

横「それだけ?」

北「なにが?」

横「ミツが気落ちしている原因?」

北「‥‥‥」



なわけないな、フッ

いくら昨日、太輔と会えたからってミツの心から不安が無くなったわけじゃない。



北「俺は、もう大丈夫だって フッ」



ただ、それを口にしてもどうにもならないから言わないだけ。

違う?



横「俺がいる」

北「‥‥っ」

横「これからも変わらずミツの傍に」



それが、どういう意味だか分かるでしょ?

“太輔とミツ”

2人の間に自分がいる限り例え離ればなれでいても繋がりは決して切れることがない。

そういうこと、フッ

俺が、お前ら2人の架け橋になってやるから絶対に折れない。



北「ふっ、ありがとな横尾さん」



礼には及ばない、自分の意志で決めたことだ。



横「そろそろ寝よ」



そう言うと、その身体を包み込むように腕の中へ抱えこむ。

と、ミツは照れくさそうに胸板へ顔を埋め。



横「お前、なに恥じらいでいるんだよ?クスッ」

北「んなんかさ不思議な気がして」

横「どんな?」

北「あれだけ触られるのが嫌だったのに今は」

横「ホッとする?」

北「なんでだろうな」



それは━



横「簡単なことじゃない」

北「んっ?」

横「1つはミツが自分の気持ちを認めたこと、もう1つは」

北「なんでぇ?」

横「お前にとって俺が必要な人間だから、ニコッ」

北「否定はしない」

横「ふっ」

北「横尾さんといると安心するし」



それが全てだろ。

見つめ合う瞳と瞳には、確かな信頼関係が生まれようとしているかのように。

自然と互いに微笑み合い、俺達は寄り添うように眠りにつく。

静かな時の流れの中で━




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