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桜花楼の恋

第12章 隠された胸の内

横「だったら裕太はどうなんだよ」

玉「さぁ」



幼い頃から、太輔に溺愛されて育った裕太は世間のことをあまり知らない。



玉「分からないや、ヘヘッ」

横「じゃ俺も同じにしとく」

玉「ズルい」

横「どうして?」

玉「合わせただけでしょ俺に」

横「ふふっ」



いわゆる、箱入り若君ってやつ。



横「どっちでもいいじゃん、そんなこと、クスッ」

玉「うっ」

横「惚れた相手が男だろうが女であろうと自分の気持ちに正直でいればいい俺はそう思う」



こいつの目の中には、太輔しかいなかった。

貰われて来た理由が、あれじゃ仕方がないのかもしれないけど。



玉「本気でね」

横「そういう奴が出来ればお前にも分かるさ、フッ」



それが、ミツの事をきっかけにし。

初めて見る世界や聞くことが沢山あり、興味を引かれているのだろう。

それは見ていて分かる…

が、いったい誰だ?こいつに余計なことを吹き込んでいるやつは?

考えられるとしたら、あいつしかいないな郭の息子の千賀健永。

しかし━

それで何かが起こるとか、そこまでは俺も危惧していなかったんだ。

大人になる過程で、誰もが通り抜ける道・性への興味だけだと。

それよりも今は。



高田「どうやら何かの伝を作ろうとしてるようです」

横「んー」

高田「会ってみます?」

横「そうだね」

高田「分かりました段取りを致します」



どっちにしても俺は郁人と話しをしなくちゃならない、トッツーのことで。

なら、まずはあいつが何を考え行動を起こしているのかを知る必要がある。

そう思っていた━

俺の気づかないところで、太輔が、とんでもないことを考えていたなんて知らず。




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