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桜花楼の恋

第12章 隠された胸の内

・河合side

翌朝、俺の腕の中には泣き続け眼を腫らしたまま眠ってしまったトッツーがいた。

恨んでも親子か、フッ



五「郁人、塚ちゃんが来たよ」

河「おう」



なんだ?こんな時間に。



塚「ちょっといい?」

河「どうした珍しいじゃん険しい顔をして」

塚「おまえ独りで何をしようとしているの」

河「んっ?」



あぁ、そのこと。



塚「町人が武家を相手にするなんて無謀にもほどがある」

五「えっ」

河「考えあってのことさ」

塚「だからって!」

五「危ないだろ」

塚「無礼討ちにでもされたらどうするんだよ」



分かった、分かったから。



河「そんなデカい声で言うなトッツーが目を覚ましちゃうじゃん」

塚「ぁ…‥」

五「けど俺らにも、ちゃんと説明してくれ」

塚「事を起こすときはみんな一緒、そうでしょ?」

河「あぁ、ニコッ」

五「で、どういうことなんだ?」

河「俺はトッツーを身請けする」

塚「へっ?」

五「なんだよ今更、そんなの」

河「だけど、そしたら宏光はどうなる」

塚「河合」



そうなんだ、あの日トッツーが前向きになってくれた事は凄く嬉しかった。

でも、いろいろと考えてるうちにちょっと待て俺の中で停止が掛かってよ

店のものに話し迎え入れる準備をするだけじゃダメなんじゃないか。

宏光は喜んでくれている、だがそしたらあいつは郭の中で独り。

太輔を待ち続けている事になってしまうんだ、塚ちゃんや五関はともかく。

俺が宏光を買うなんて事は出来ないんだろうしさ。



河「なら自分に出来る事をしてやりたい、せめてその日が来るまで」



そう思い。



五「話しは分かった」

塚「でもやっぱやっていることは無茶苦茶だ」

河「あははっ、悪い」

塚「俺んちが道場やってるの忘れたの」

河「頭になかった、ハハッ」

塚「うっ」

五「あらら、塚ちゃんイジけちゃったじゃん」

塚「だっ、大体さ下調べもしないで屋敷という屋敷に押し掛ける方がどうかしているよ」



いやぁーだって、どの家へ行ったらいいか分からなかったから。




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