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桜花楼の恋

第16章 貫く強さと心

辰「宏光、若旦那からの文を持って来たよ」

北「あんがと、ニコッ」



“元気にしているか?

俺もトッツーも、2人して力を合わせ店を切り盛りしている。

もうトッツーの笑顔に客は骨抜きにされちまい売れるわ売れるわ”

クスッ、なにノロけてるんだか。

“太夫お披露目の日にはハッシーも五関とそっちへ行くってよ、もちろんトッツーもな。それまで身体に気をつけて頑張れ宏光”

あぁ、フッ

それから暫く日が経ったころ横尾さんが江戸を去り、お預けとなった加賀へ行ってしまったことを知った。



亀「そんな寂しそうな顔をするな」

北「あいつには特別な想いがあるからさ」

亀「また会える、いや俺が会わせてやるって」

北「ふっ」



その数日後━



北「行くんか?あいつの所へ?」

玉「うん宮田一座と一緒に、ニコッ」

北「でも宮田たちは西の方へ行くんじゃなかったっけ」

玉「遠回りして送ってくれることになったんだ」

北「んだか気をつけて行って来いよ、フッ」

玉「ミツ」

北「んっ?」

玉「ありがと」

北「なにが?」

玉「ミツに会えたから俺は変われた気がする」

北「タマ」

玉「その強さ自分もそうなりたいと思ってた」

北「十分に強いぜタマは」

玉「必ず添い遂げてみせるからミツもガヤと」

北「あぁ、ニコッ」

玉「約束、覚えてる?」

北「一緒に尾張へだろ?」

玉「うん、忘れないでね」

北「分かっているって」



が、その話を。



千「タマが宮田と加賀へ」



こいつが聞いていたとは、思ってもみなかったんだ。

出発は2月の15日、俺の太夫お披露目の翌日だから屋敷内の連中の目もあり、たぶん自分は来れないだろう。



玉「ミツの晴れ姿、見たかったんだけどな」



タマはそう言って残念そうに戻って行き、再び俺は準備に追われる日々が続く。



千「宏光」

北「どうしたんで?千賀」

千「一緒に寝よ」

北「んっ?」



ギュッ!

それぞれが、様々な想いを抱える中で。




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