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風は少しずつ冷たさをやわらげていき、そしていよいよ。



戸「北山」

北「トッツー」

橋「着替えは僕たち２人で手伝うね」

五「じゃ、俺らは向こうで待っていようぜ」

塚「おう」



俺は、その日を迎える事となる。

花魁道中ってあるだろ？やる事はあれと似ていて、ようは着飾った太夫が遊郭街を供と一緒に練り歩く。

しずしず、しずしずと…

男娼遊郭では、それが太夫のお披露目ってわけ。

だから、ついた旦那の格はその郭にとって凄い大事で派手であればあるほど店の評判も上がり。



橋「わあぁ、きれぇーっ」

塚「こりゃ驚いた!?」

ニ「みっちゃん、惚れ惚れするぜ」



そっ、そうか…ﾊﾊｯ



五「藤ヶ谷や横尾にも見せてやりたかったな」

亀「あの２人には別の姿を見せてやるさ、ﾌｯ」

戸「それって」

亀「ﾆｯ」



なっ、なんでぇその意味深な含み笑いは？



旦那「さっ参りますよ北山太夫」

北「なんか照れくさいわ、そう言われるの」

番頭「しゃんとして下さい貴方は今日から桜花楼の顔なんですから」



顔？



宮「太夫が笑顔を振りまくのは、お客を招き入れる為だけじゃないってことさ」



お前、いつの間に。



宮「タマが来れないぶん俺が見届けなくちゃと思って」

北「で、他になんの意味があるっていうんで？」

宮「男娼たちに勇気と希望強さを与える為」

北「‥‥っ」

宮「だから太夫は毅然とし誇り高い存在でなければならない」



誇り…高い‥



宮「キタミツなら大丈夫、ほら胸を張って」

北「おまっ、ﾌｯ」

旦那「健永、準備はいいか」

千「いつでもいいぜ親父」

旦那「よし出発」



ｼｬﾘﾝ!ｼｬﾘﾝ―



千「桜花楼の北山太夫でございます」



ｼｬﾘﾝ!ｼｬﾘﾝ―



千「どうぞ皆様お見知りおきのほど、よしなにお願い致します」



誇り高く胸を張り…

かもしれない、そうする事で少しでも男娼たちに希望を与える事が出来るのなら。

ｼｬﾘﾝ!ｼｬﾘﾝ―

俺は、自分なりの太夫の姿勢をこいつらに示してやるわ。

この場所で前向きに生きて行けるよう━