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桜花楼の恋

第16章 貫く強さと心

・藤ヶ谷side

ガチャーン!



藤「つっ」

家臣「若君お怪我は」

藤「かすり傷だ」

家臣「手当を」

腰元「ただいま」



なんだ今のは?

背中にゾクっと寒気がし、思わず俺は持っていた碗を落としてしまう。

北山の身に何か?

いや心配はいらないはず、あいつの傍には仲間がついてるんだから。



家臣「そろそろ、お休みになられた方が少々酒の度が過ぎまする」



こうでもしないと眠れないんだ。

年明け早々尾張へ到着するや否や、母上が後を追いかけるかの如く江戸からお戻りになられ。



藤「タマが!?」

母「父上は物凄くお怒りになって渉殿を加賀へお預けの身に」



らしくないじゃん、わた。

どうなるか分かっていて、それだけ惚れてるって事か俺みたいに。

参った、次にどんな顔をし会ったらいい。

が、その反面 俺は相手がわたで良かったとそう思っていた。



母「春になったら父上もお戻りになります、さすれば」



いよいよ本格的に見合い話が進められるっていうのだろ。



母「くれぐれも、ご自分の行動には責任を持って」



分かっている…

それから暫くし丸からの文で北山が無事、太夫になりトッツーとハッシーが郭から出られた事を知った。

続けざま━



藤「はっ?何をやっている、あいつ」

家臣「どうなされました」

藤「いや」



俺は北山の傍にいろと言ったはず、どうして宮田一座の後をつけてるんだよ。

丸のドあほっ…



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