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桜花楼の恋

第18章 いざ尾張へ

・藤ヶ谷side

春になり、父上がお戻りになると城内では慌ただしく見合いの準備が始まった。



家老「ここの姫など如何なものでしょう」

殿「歳がいき過ぎておる太輔はまだ若いのだぞ、それに見合った姫がよい」

家老「では」



はぁ…



母「何を溜め息などついておられるのです?クスッ」

藤「別に」



カメからはなんの知らせもない、ただ待っているっていうのも堪らないもんさ。

北山、どうしている?

丸が暴走してしまったから、江戸の情報は俺の耳に全く入らず。

つうか文くらい誰かよこせったくよ、あぁ苛々する憂さ晴らしがしたい。

と、そのとき。



家臣「ご家老、面白い話を聞き及びましてござる」

家老「騒々しい殿の御前であるぞ」

家臣「もっ、申し訳ございません」



バタバタと、家臣の1人がやって来て。



殿「よい話してみよ」

家臣「はっ、実は」



来たか。



殿「それは誠の話しなのだな?」

家臣「確かでございます、ただ今お迎えの用意をしているとのこと」

殿「あそこの姫なら申し分ない、いくつじゃ?」

家臣「若君より1つ上と聞いております」

殿「よい太輔に見合っておるではないか」

家老「しかし」

殿「なんだ?」



わたの親父、よけいなことを言うなよ。



家老「城育ちではない姫が果たして我が藩の御台所として務まりましょうや」



ううっ、この石頭…



殿「それも一理ある」

家老「さすれば、このようにしては如何なものでしょう」

殿「んっ?」

家老「他にも候補の姫さま方を招き若君と面を合わせ作法などを見定めた上で、お決めになるというのは」

殿「なるほど良い考えじゃ、さすがだの」

家老「恐れ入りまする」



げげっ、無理だってば。




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