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桜花楼の恋

第19章 優しさと温もり

旦那「宏光、私は決めたよお前たちを見ていて勇気が沸いた、これからは自分の気持ちに正直に生きることにする」



んだか、でもそれがいい。

確かに人は、生まれた時から何かに縛られているのかもしれないが。

それは、親だったり先祖・血縁・周囲の環境とか自分ではどうすることも出来ない柵みたいなもん。

だけど諦めていたら、なんの意味もない生を受けたからには精一杯生きなきゃ損ってもんさ。



「さぁ太夫の新しい門出だ、みんなして幸せを願い喜んで見送ろうではないか」

「わああっ、おめでとう」



ありがと、フッ



旦那「お前に出会えて良かった宏光、ニコッ」

北「あんたも元気で、フッ」

旦那「あぁ負けずに頑張るよ」

番頭「門を開けろぉーっ」



ギィーッ!



北「眩しっ」

横「行くよミツ、あいつらが待っている」

北「おう、フッ」



“北山太夫、バンザーイ”

潜った瞬間、ここへ来た日から今日までの事が走馬燈の如く脳裏を走り抜けた。

そして━


戸「北山」

北「トッツー」

河「お疲れちゃん、ニコッ」

北「あぁ、フッ」

五「よくやったよホント」

北「五関」

橋「おめでとう宏光」

北「背、少し伸びたんじゃね」

橋「育ち盛りだもん、フフッ」

五「もぉーたくさん食って大変でさぁ、アハッ」



こいつらの笑顔が俺を出迎えてくれ、が1人足らない。



北「ニカはどうしたんで」

五「あいつは」

河「今頃イジケてるんだろうな」

戸「許してくれなかったんだ親父さん」

北「えっ」

横「旅に出るなんてとんでもない、そんな暇があったなら店を手伝えと」

北「で?」

橋「昨日ね家を飛び出しちゃったらしいの」



あいつ…




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