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桜花楼の恋

第19章 優しさと温もり

北「宜しく頼む、ペコッ」

河「よせって頭さげるなんてらしくないじゃん堂々としていろ」

戸「北山が護ったんだよ自分の身を挺して、そうでしょ?ニコッ」

北「ふっ」



そうなるか。



河「ほら行って来い、あいつら楽しみにしていたんだからさ」



扉の方を見ると。



瑞希「兄ちゃん早くぅー」

龍也「祭り終わっちゃう」



分かったってば、フッ



北「んな、すぐには終わらねぇよ、クスッ」

戸「行ってらっしゃーい」



小さな幸せ。



瑞希「あっ、金魚すくい」

龍也「よし何匹取れるか競争だ」



こんな日が来るだなんて思ってもみなかった。



瑞希「ふぇーん兄ちゃん」

北「うわっ、どうやったらそんなビショビショに濡れてしまうんだ」

龍也「こいつ水に顔、近づけ過ぎなんだよ」

瑞希「だってぇ」

北「クククッ」



夜、遊び疲れて寝てしまった弟たちを見ながら思う。



戸「んふふっ、幸せそうな顔をし眠ってる」

河「可愛いよな子供って」

戸「ところで北山、これどうしたの」

北「瑞希が欲しいって聞かなくてよ」



枕元に置いてある1枚の絵。



河「まさか描かれているのが自分の兄ちゃんだとは気づいてないよな」

北「たぶん」

戸「複雑な心境でしょ」

河「クククッ、自分の男娼姿の絵を欲しがるだなんて」

北「まぁ、フッ」

戸「何か感じるものがあったのかもね」

河「瑞希にとってはお守りみたいな物なんじゃね」



かもしれないな、ふと懐に手を入れるとあのとき藤ヶ谷から貰った守り袋が指に触れる。

俺も毎晩握りしめ寝ていたっけ、もう匂いは殆ど残っちゃいないけど。

そうしていれば、あいつが傍にいてくれるような気がして。

翌日━



北「みんなの言うことをよーく聞いて、いい子にしているんだぞ」

瑞希「うん」

龍也「兄ちゃんも身体に気をつけてよ」

北「いっちょ前な口きくようになったな」

瑞希「文ちょうだいね」

北「おう、ニコッ」

福「この子たちの事は我々にお任せ下さい」

北「宜しく頼む」

辰「お幸せに」

北「コクン」

河「さぁ、行くぜ」



俺達はまず加賀の屋敷へと向かい、そこから藤ヶ谷に会えるにはまだ数日かかるけど。

心は晴れ晴れとしていた、人の温かさに触れ。




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