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桜花楼の恋

第20章 粋な計らい

・藤ヶ谷side

タマが尾張の城へ帰って来た日の夜、俺達は久々に寝床を共にし。



藤「そっか、それで」

玉「反対する?」

藤「しないよ、フッ」

玉「本当に?ほんと、ねぇガヤ」

藤「しないって言ってるじゃん、クスッ」

玉「ありがと」



ギュッと、抱きついて来るタマ。



藤「それより」

玉「なに?ニコッ」

藤「おまえ町人に戻る気はない?」

玉「えっ」

藤「父上も母上も、それがタマのためなら構わないと言って下さってる」

玉「いきなり急に言われても」

藤「その方が、わたとも自由に会えるようになるんじゃない」

玉「俺は!」

藤「んっ?」



が、タマは自分とは全く違う考えを口にしたんだ。



玉「侍のままでいたい」

藤「なっ、どうして?」

玉「確かに生まれは町人だったかもしれないけれど物心ついた時には」

藤「今さら戻れないとでも、そんなの」

玉「違う」

藤「‥‥っ」

玉「わたの事は大好きだよ会えなくなるなんて絶対にいや」

藤「だったら」

玉「でもガヤのことも好きなんだ俺」



タマ…



玉「ガヤは血が繋がらなくても俺の…だから‥クッ」

藤「分かった、もう分かったから!ギュッ」



何も言うな、クッ



玉「ごめん…ね‥せっかく考えてくれたのに」

藤「いいって、フッ」



別の方法を見つければ。



玉「ガヤ」

藤「なに?」

玉「俺も、いろいろと考えてみたんだけどさ」

藤「言ってみ?」

玉「あのな、コショコショ」

藤「‥‥っ」



えっ、それは難しいんじゃ…わたの親父さんってかなりの石頭だし。



玉「無理…かな?」

藤「んー」

玉「だよね、ハァ」

藤「焦らず2人でじっくりと考えていこう、ニコッ」

玉「うん」




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