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桜花楼の恋

第22章 婚礼の日

藤「会いたいんじゃない時々抜け出すことくらいは出来るから」

北「藤ヶ谷」

藤「息抜きして来い北山」

北「いいの?んなことしても」

藤「俺だって息が詰まるんだ、お前なんか尚更だろ」

北「んまぁ」

藤「門番には話しつけといてやる、なっ?ニコッ」

北「あんがと」



しかし、まさかそれがあんなことに繋がるだなんて思ってもみないでいたんだ。



横「そっ、ミツが」

藤「城での生活が負担になってるんじゃないかと思い、みやのところへ行けばいいって言ったんだけど」

玉「なんて」

藤「あんがとって」

玉「それだけ」

藤「あぁ」

横「‥‥‥」

藤「なんか心当たりでもある?2人とも」

横「いや」

玉「ない…けどさ」



わたとタマが、その事を黙っていたのも北山の心情を汲んでのこと。



横「もう少しこのまま様子を見てから、また考えればいいんじゃない」

玉「俺もそう思う」



それも、事が済んだ後で聞き。



藤「そうだな、そうするよ」



この2人だけじゃなく五関や塚ちゃん健永にみや、郁人・トッツー・ハッシーまでも知っていたらしく。

それが全て…



藤「おさじに見て貰うって母上、何もそこまで」

母「心配は入りませぬ形ばかりのものですから」

藤「しかし」

母「子が出来るかどうかを見て頂くのは将軍家でも行っていること」

藤「ですが」

母「当家とて徳川の血筋、この母も輿入れしたあとに受けました」

藤「‥‥っ」

母「大丈夫ですよ見て下さるのは和也殿のお知り合いの方ですから」

藤「えっ」

母「んふふっ」



母上の仕業だったとは思いもせず。



「それでは皆さまは退室願います」



が、更にそれが北山を追いつめることになろうとは。

いや、正確に言うと。



「誠に申し上げにくいのですが宏姫さまに、お子は」

「出来ぬと申すか」

「残念ながら」

「なんと哀れな」



なかなか行動を起こそうとしない北山に対し、母上が無理矢理に背中を押したんじゃないかと?

そう感じるほど、俺は北山がそうしたことが正直 初めは信じられなかったんだ。

だが、その切ない胸の内を知ったとき自分も決心する事となる。

あいつの気持ちが、それで少しでも楽になれるのなら…そう思い。




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