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・藤ヶ谷side

それは、町中から連れて来た雪という娘を北山が俺に引き合わせた数日後のことだった。

今、なんて？



北「俺からの願い頼む聞いてくれ、ｸｯ」



嘘だろ？お前の口からそんな言葉が出るだなんて。



藤「どう…し？」

北「藤ヶ谷」

藤「俺は女は抱かない、いや北山以外のやつは」

北「分かっている」

藤「‥‥っ」

北「んでも今は、それじゃダメなんだわ」



なっ!?



北「お前だってそれくらい」

藤「あぁ、けど俺が作らなくても養子を貰えばいいだけの事じゃん、わたのとこみたいにさ」

北「いいのか本当にそれで？」

藤「何が言いたい」

北「藤ヶ谷の親父と、お袋さんの気持ちは考えなくてもいいのかって言ってるんだ」

藤「北っ…」



おまえ、なんで急に？



藤「そうか気にしてるんだ、おさじに見てもらったあと父上が毎日いろんな物を持って来たこと」

北「それもある、んだが」



他にも何か？



北「俺らは自分たちが一緒になれる事しか考えていなかった気がする」

藤「それ…は」

北「けど、あの２人だって楽しみにしていたんだぜ」

藤「えっ」

北「自分で子を産むことが出来なかった奥方、姫君が欲しくても惚れた女のため他のやつを抱かずに通した殿さん」

藤「‥‥っ」

北「が、藤ヶ谷が嫁を貰えば娘が出来る生まれて来た子をその手に抱くことだって」

藤「…そう‥だけど」

北「夢を希望を俺らのために奪ってしまいそれで本当に幸せになれたと言えんの？なぁどうなんだよ」

藤「でっ…でも‥」

北「１つは壊してしまってるんだ俺が男だって知ったらお前の親父どれだけ落胆するか」

藤「くっ」



と、そのとき。