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桜花楼の恋

第24章 暗雲の兆し

・藤ヶ谷side

この日、突然やって来た翔は。



高田「‥‥‥」

丸山「さっきからずっとこうで喋らへんのや」

藤「タマと一緒だったんじゃないの」

丸山「二の若さんは殿様の所へ行きよったで」

高田「若は」

丸山「わっ、喋った」



んっ?



高田「宏光殿を一番に愛でておられたのではないのですか」

藤「…まぁ」

高田「そのような歯切れの悪い以前とは違い」

藤「何が言いたい」

高田「情けなや女を知り腑抜けと成り下がられたか」

丸山「言葉が過ぎるで翔」

藤「いい丸」

丸山「そやかて」

藤「確かに俺はあれほど拒んでいた女を抱いた、しかしそれは」

高田「子を作る為そのようなこと分かっておりまする私が申したいのは!」



と、その時。



「失礼いたします若君お雪の方さまが」



とたん口を閉ざし、唇を噛み締める翔。



藤「入れ、どうした?」

雪「何やら怒鳴り声が聞こえたものですから気になって」

藤「心配はいらない」

雪「ならよいのですが」

藤「身体の調子はどう」

雪「順調だそうです、おさじが申しておりました」

藤「そうか」

高田「クッ」



お前…



玉「ガヤ、ガヤあぁ」



ハダハダバタ!



藤「なんだ騒々しい」

玉「大変だよミツが、アッ」

雪「お初にお目に掛かります雪と申します」

玉「どう…も」

藤「北山がどうした」

玉「あ、うん」

雪「私お邪魔でしょうか」

高田「帰りまする」



ダッと、その場を去って行く翔。



玉「翔、ガヤまた後で!翔、翔ったら」



ダダダッ!



丸山「なんやあれ」

雪「ミツとはどなたの事です」

藤「気にしなくていい」

雪「若君さま?」

藤「いいって言ってるだろ」

雪「‥‥っ」

藤「あっ、悪い」

雪「いえ差し出がましい事を」



タマ、お前が言いたかったのは奥でのことか萩谷は岸と一緒に加賀へ帰った。

母上の話しでは、代わりにご自分の忍びを付け大我と謙太郎の2人を自分つきにし。

その上で、改めて北山の傍へ付けていると聞いている。

そうすれば、周囲は2人に手を出すことが出来ないから。

他に何かあるわけ?

気になりながらも、その日は終わりを告げ。

その意味がわかったのは数日後、父上に呼ばれた時だった。




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