テキストサイズ

桜花楼の恋

第6章 兄弟の絆

・藤ヶ谷side

俺は、タマにそんなことがあったなんてつゆ知らず。



父「太輔、まだ言うか」



屋敷へ戻って来てからは、毎日の如く父上と言い争う日々が続いていた。



藤「何回でも」

父「お前はもう子供ではない昔のような我が侭は通用しないのだぞ自分の立場というものを弁えろ」

藤「くっ」

父「とにかく江戸城からハッキリとした返事が来るまでは一歩たりとも屋敷から出ることは許さん分かったな」



こんな家柄に生まれて来なければ、何度そう思ったかしれない。

それでも、子供の頃はタマの無邪気な笑顔に救われていたっけ。

しかし…

ごめんなタマ、お前の全てを俺が変えてしまって今は本当にすまないと思っている。



母「太輔」

藤「母上、クッ」

母「貴方が行ってみたいと言うからこの母も許しました、しかしもうこれ以上は無理です」

藤「どうしてもですか?」

母「普通になって下さい、ご自分に相応しい姫をめとり子を成し、それが父上や母また家臣たちの願いでもあるのですから」



でなければ由緒ある血筋が絶えてしまう…か‥フッ

俺は人形じゃない。



家臣「若様、湯殿の用意が整いました」



北山に会いたい会ってその身体を思いっきり抱きしめたい、クッ

そうすると、生きてるって感じることが出来るんだ。

だが、ここでの俺は屍も同じ。



家臣「本日は寝床に、さる物がおります是非とも若様よりお情けを頂戴したいと、よしなに」



あいつが、一緒にいないと。



藤「父上の差し金か?そんなことをしても無駄ってもん」

家臣「若様!」

藤「俺は女は抱かない」

腰元「もっ、申し訳ありません失礼いたしました」



パタパタパタ!

俺が欲しいのは 北山宏光ただ1人、これだけは誰がなんと言おうと変える気はないからな

孤独な戦い虚しいくらいの、それでも俺は逆らい続けるしかなかった。

自分という人間を主張する為にも。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ