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桜花楼の恋

第6章 兄弟の絆

母「我が子がそんなふうに思われるなんて誇りだわ」

父「役者冥利というもの」

宮「俺達は人々に夢と希望を与えることで生かされているからね、ニコッ」



夢と希望?



母「貴方は幸せだった?」

父「殿様や奥方様、若君は慈しんで下されたか?」

玉「はいとても、ニコッ」

父「だったら後悔すまい」

母「貴方を人様に上げてしまった事を、ニコッ」

玉「くっ」



ギュッ!



玉「俺も誇りに思います、お二人の子供として生まれて来たことを父さん母さん」

父「裕太」

母「ありがとう、クッ」



そして、強く生きてく。



玉「宮田」

宮「えっ」

玉「そう呼ぶことにした」

宮「どうして?」

玉「そっちだって勝手にタマって呼んでたじゃん」

宮「あはっ、つい」

玉「俺達は兄弟だけと友達これからは対等でいたい、いいよね?ニコッ」

宮「もちろん喜んで、フッ」

玉「ってことで、さっそくなんだけど」

宮「んっ?」



教えて、ガヤが惚れ込んでいる男娼のことを。

俺、気づいたんだ甘えていたのは自分だったって事に。

貰いっ子だからって理由でガヤを頼り縛り付け、けどそれじゃダメなんだってこと。

自立しなくちゃさ…

その為にも知りたい、その人がどんな人で何故ガヤがそこまで拘るのかを。

じゃないと俺もこれからどうすればいいのか、進むべき道を見つける事が出来ない気がしたから。



横「で、兄さんはなんて言ったの?」

玉「それは人から聞くものじゃなく自分の眼と耳で確かめるものだと」

横「いい兄貴だね、フッ」

玉「わた」

横「んっ?」

玉「明日、行って来る」

横「俺にも今度、会わせてくれる兄貴に」

玉「いいけど変な奴だよ」

横「そうなの?」

玉「一緒に芝居を見に行こうよ宮田一座の、ニコッ」

横「あぁ、フッ」



その日、不思議なほど気持ちは晴れ晴れとしていて何かに解放されたような、そんな感じがした。

それは負い目みたいなものだったのかもしれない、自分の境遇に対しての。




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