テキストサイズ

桜花楼の恋

第7章 募る想い

高田「あのですねぇ、これでは他のことが出来ませんよ」

ニ「わったーの言うことは聞いて俺の頼みは聞けないってわけ?」

高田「ただの興味本位なくせに、チッ」

ニ「なんか言った?」

高田「別に、シュッ」



それから―

チャリン、シュッ、チャリン、シュッ!

何回、それを繰り返した事だろう。

今度こそ、チャリン!

そう思い鳴らしたら、あれ出て来ない?おーい。

つまらないじゃんかぁ。



千「うっえぇーっ、おまえ誰!?」



が、とたん離れた場所でイジけていたはずの千賀が叫び声を上げ。

その方向を向くと。



丸山「丸ちゃんこと丸山隆平と申します以後お見知りおきを、ニコッ」

千「わわわっ、忍者?」

丸山「まぁ一応はそうなりまっけど忍びいうもんや」

千「かっちょえぇーっ」

丸山「そんなぁ、あはは、ホンマでっか?ニヒッ」

千「遊ぼ、遊ぼ」

丸山「ええでぇ、ほななんにします?ニコッ」



あいつ、何者?



高田「若様についている忍びで西の出身の者です」

ニ「わっ、翔!?」

高田「あれでも武術にたけた腕の立つ忍び、しかし」

ニ「んっ?」

高田「ちょっと変わり者ゆえおかしなことをするやもしれません」

ニ「おかしなこと?」

高田「そのうちに分かります、それより」

ニ「なに?」

高田「主からの伝言です」

ニ「わったーから?」

高田「本日の夕刻すぎに裕太さまがここへいらっしゃいます。よしなにと」

ニ「タマが」

高田「では、シュッ」

ニ「ぁ…‥」



ちぇっ、結局は教えて貰えなかったや。

ってことは、ミツに会いに来るんだよな。

きっとすぐ気に入る…

そしたらその先はどうなるんだろう。

ふと、そう思った。



千「ぎゃはははっ、すげぇ百面相!あははっ」

丸山「こんなのも出来るで」

千「ぷっ、キャッキャッキャッ」



何も知らず遊んでいる千賀、呑気でいいなぁあいつは。

それは月が変わるまであと数日と押し迫った日のことだった。

タマとミツが、初めて顔を合わせたのは。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ