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蜜蜂オヤジ。

第11章 抑えていた感情。

『ありがとう…。お父さん…って…暖かいですね…。 顔つきは怖いのに…エヘヘッ…。』

柚さんは
鼻水をすすりながら
涙に濡れた瞳で
俺を見つめてきた…


えっ?あれれ……??


月明かりに照らされた
柚さんの泣き顔は
意外にも…
俺の予想を飛び越えて
色っぽく見えた……


『私ね… …大を出産してから、もうずっと忍と夜がご無沙汰なんです…。だから日に日に私が乾いていくなぁ…って言う思いもあったんですよ…。でも、桜さんも薫さんが海外に赴任したから同じだろなぁって思っていたの… でも、桜さんは前よりもまして、すごく女っぷりをあげてて、……あーやっぱり、私とは違う女としてのスペックがあるんだって思ったら…寂しくなってヤキモチ妬いちゃったところもあるのかな?…だって、今の私の顔ひどいでしょ?涙と鼻水で…エヘヘッ……。』

柚さんは
俺にそう言って
涙顔で微笑んだ…



………突然
俺のなかに
この柚さんって可愛い心根の持ち主じゃないか?
そんな
思いが吹き出してきた!

予想外だった…。


俺はつい
指先で柚さんの涙を吹いてあげて
囁いた…


『柚さんは… …そうして微笑んでいたら別人みたいに綺麗だよ…。』



『えっ…?』
驚いたように
半開きになった
柚さんの唇が俺には無性に俺を誘っている
半開きの花びらに見えた…


月明かりの下の縁側で…

俺は柚さんの唇に
そっと唇を重ねた…。

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