こんなとこじゃイヤ!
第4章 真実
壁いっぱいに貼られた隠し撮りのような写真―――登下校中のやつから、友達と一緒にいる時のものや、家のなかまでの写真もあった。
背筋がブルリと震える…
「真琴くん……」
俺の背後には冬樹さんが立っていて、足もとにはグラスの割れた破片が飛び散っている。
落とした食器の音に気づかないほど、頭のなかが真っ白で…
「…っ、さわるなっ!!」
伸ばされた冬樹さんの手を、俺は反射的に振り払っていた。
ーー今にも泣きそうな傷ついた顔
傷つけられたのは、間違いなく俺のほうなのに…
「確かに俺のしたことは、間違っていたと思う……だけど、自分でも止められなかったんだ」
「そんな話しなんて聞きたくないよっ!」
「自分でもどうしようもなくて…好きなればなるほど…キミの姿を追っていたんだ……」
「うるさい!うるさい!うるさいっ!!」
気持ち悪い…
こんな奴を好きになったなんて、自分で自分が許せない。
「あんたなんて大嫌いだっ!!」
――――――
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気がついたら逃げるように飛びだしていた。
最後に見たのは冬樹さんの泣き顔で。
何もかも忘れたくて、俺は夜の街を必死に走っていた。