
ヴァンパイアのCrazy Night
第2章 彷徨える客人
散々疾走して、体力が限界までに達してきた。その苦痛に耐えきれなくなって、私はその場に立ち止まる。腰を屈めて膝を掴み、必死に喘ぐ。酸欠や酷烈な恐怖心で心臓が異常にもバクバクと高鳴っていた。
そして、なんとか息を整えて、朦朧とした視界から鮮明としたそれに変わった時、
「…っ!」
新たな恐怖に、またも慄然とする。
かっと目を見開いて、視線の先にある地面のおぞましい光景に…血の気が引いた。
「くすくす…可哀想な子だね」
「あははっ、まんまとハマったよ」
「一難去ってまた一難…災難はいつだって降りかかるものなのさ。特に、このお嬢さんはね…」
男たちの言葉すら耳に入らず、あまりの恐怖に視界が滲んでいく。
暴力的なまでに…視界に飛び込んでくるのは、地面が埋め尽くされるほどの…おびただしい数の蛇だった。
頭が真っ白になって、思考回路が無情にも遮断される。
