テキストサイズ

ヴァンパイアのCrazy Night

第2章 彷徨える客人


「…っ!!」

声にもならない悲鳴が、喉の中に轟く。

完全に恐怖に打ちのめされる中、大量の蛇の中の大蛇と、目が合ってしまう。その途端に、私はまるで石化でもしたかのように体が硬直してしまう。

その大蛇はスルスルと長い舌を出し、私を鋭く牽制する。

目を逸らしたら負けだ.きっと死ぬ…。直感的にそう思い、瞬きすら忘れて、その大蛇から私は目を逸らさない。

一瞬の隙も許されない、一触即発な非暴力の闘い。

一切の緊張の糸は紡がれたまま、両者の間には緊迫とした空気が漂う。

時という存在すら忘れ、しばらく目下の大蛇と互いに牽制し合う。

刹那、大蛇は一瞬だけ目を背けた。私はその一瞬の隙を突いて、硬直した足をなんとか動かし、この恐怖の生き地獄から逃れようとする。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ