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「ん、もう。アスリート」

「アーティスト」

「チェンジ」

ふたりはスティックに宝石をセットすると、スティックを交差させて華麗に振り回す。
アコースティックな音楽が流れて眩い光の中でふたりは新体操選手とピアニストにフォームチェンジした。

アーティストのピアノ協奏曲に乗ってアスリートはリボンを振り回して華麗に踊る。リボンはチョコレート爆弾を叩き落としていく。

「これまでね」
アスリートはバトンを突きつけてバレンタインの怪人を睨む。

「おのれ～、モテない男どもよ～、今こそその鬱屈した怒りをぶつけるのだぁ～」

チョコをもらえる当てもない寂しい男たちはバレンタインの怪人に操られるままにモテない怒りを全開にして暴徒と化して暴れ始めた。

「や、やめなさい」
「そんな悪いことをしてると本当にモテなくなっちゃうよ」

さすがに操られているだけの人々をやっつけてしまうワケにもいかない。ふたりのプリキュアは暴徒と化した男たちに囲まれてピンチになった。

「アーティスト、みんなを眠らせられない？」
「そうね。美しい音楽は猛獣を眠らせることもあるっていうし、やってみるわ」

キュアアーティストが宝石をセットしたスティックを振り回すと優雅な音楽が流れて今度はフルート奏者に変身した。

キュアアーティストが奏でる美しく優しい音色は男たちを鎮めて眠りに誘う。

「おのれ～。みんな、もっと怒れ～。お前たちはチョコももらえずに寂しいだろう、悔しいだろう。それなのにカップルたちは何をした。お前たちに見せつけるようにイチャイチャしやがってよ～」

バレンタインの怪人はモテない男たちの怒りや悔しい心を刺激して眠りを醒ます。

「お前たちが寂しさに泣きながらセンズリこいてる時にカップルたちはラブラブにエッチしてやがるんだぞ～。怒れよ～、怒りをぶつけるのだ～」

バレンタインの怪人が怒りのマグマを刺激したせいで男たちは完全に眠りから覚めてもはや手のつけられないくらいに怒って暴れ続ける。

「なに破廉恥なことを言ってみんなを暴れさせてんのよ。もう許さないわ」

キュアアスリートは怒りを燃やしてバレンタインの怪人を睨む。

「でも、これでは手のつけようがないわ」

キュアアーティストは困った顔で暴れ狂う男たちを見降ろす。プリキュアは宙に浮かんで何とか難を逃れているのだ。