
愛すると言う事…
第1章 episode 1
翔「俺…どうも料理はセンスないらしい」
智「…だろうな」
翔「頼む。ちょっと本気で考えてくれ」
家賃も水道光熱費もいらないとなれば、給料は丸々残る。
殆んど物欲もないから今のところ使い道もない。
まぁ、今の借金払うくらいか…
智「……だったら、すぐに借金返せるな」
翔「…借金?いくら?」
智「…俺のじゃねぇけど……後、300位か?」
翔「俺のじゃねぇ…って…誰のだよ」
智「……会った事もない叔父さん」
翔「…は?」
智「………」
翔「お前、高校生だろ。何でそんな餓鬼に借金払わせてんだよ」
智「…ばあちゃんが払ってたらしい。ばあちゃん死んだら、俺の所に来て…よく分かんねぇけど、払えって。他の親戚は全員、相続放棄?したとか何とか…分かんねぇよ、俺だって」
ばあちゃんが死んだ途端、怪しいスーツ着た輩が数人で押し寄せて来たんだ。
書類やら何やら見せられたけど、俺なんかが見たって分かるはずもなくて。
怪しい輩に仕事紹介するって言われたけど、そこは俺の意地で『返してやる』って啖呵切った。
だから今の店に居る。
今の店でも十分に返して行けると思ってた。
実際、もう残りも少しだし…
翔「後300?…2年位だよな?あの店」
智「…ん」
翔「残り精算して片付けろ」
智「…無理」
翔「何で?」
智「…させてくんねぇ。俺も、売り上げ多かった時余分に払うっつったのに、それは出来ないって言われた」
翔「お前それ……こっちでカタ付けるか?」
智「…どう言う意味?」
翔「多分、多く払えば利益が減るからだろ?その分返済期間が短くなるからな」
俺、本当何も知らねぇんだ…
ただ馬鹿みたいに真面目に払い続けてきたけど、利子とか良く分かってなかった。
翔さんが細かく教えてくれた内容考えたら、本当に阿保らしくなった。
多分、ヤバい連中が絡んでるだろうなって翔さんが言う。
まぁ"あっち"の人たちって事だろう。
それは何となく俺も思ってたけど。
翔さんは『返済先教えろ。後は俺が片付ける』って言って、食器を手に立ち上がる。
どうすんのか聞いてみたけど、『弁護士』って一言だけ返された。
ただ…
翔「安心しろ。綺麗サッパリさせてやっから」
そう言って、優しく笑った。
