
愛すると言う事…
第2章 episode 2
夕方、翔さんのマンションから帰って来た。
やっぱり歩いて帰って来たのは、少しは慣れたけどどうしてもまだ胸が苦しくなる感覚があるから。
歩きながら考えてみたけど、サッパリ分かんない。
別にこれと言った何かをされる訳でもない…
コーヒーに何か入れたのか?
まさかなぁ…
自分の店に誘ってる男がそんな事はしないだろう、普通。
兎に角、綺麗サッパリ借金を片付けてくれるって事は、それなりにお返ししなきゃなんないから。
今日にでもオーナーに相談…いや、潤の方が先か。
後で潤に話してみるか。
店に着いて控え室に入ると既に潤は出勤してた。
潤「おはよう♪」
智「……はよ」
まだ誰も居ない控え室。
だけどいつ入って来るか分かんないから。
智「……なぁ」
潤「んー?」
智「…店終わったら、ちょっといいか?」
潤「………」
言った途端、携帯から俺に視線を向けジーッと見てくる。
…何だよ。
俺がこんな事言い出すのは確かに初めてだから仕方ないけど…
そこまで驚く事ないだろ。
潤「……どした?大丈夫か?」
智「…何が」
潤「あー…いや、いい。…分かった。店終わったらな?」
智「…あぁ」
何か凄ぇ吃驚してたけど、若干嬉しそうに見えたのは俺の気の所為か?
よく分かんないけど、とりあえず聞いてもらえるらしいから。
今日も俺は、指名指名でフロアに出っ放しだった。
どこぞの社長婦人とか言う女が店で一番の酒を頼み、黒服たちがコールを叫ぶ。
ヘルプの奴らがチヤホヤして、俺はただ高級な酒を口した。
隣の女の肩を抱きながら。
閉店すると俺の携帯にさっきの社長婦人からメールが届く。
【楽しかった!ありがとう♪また行くね♪】
残念だけど、恐らく今日が最後だな。
そんな事を思いながら、潤と一緒に店を出た。
こんな明け方に開いてる店なんてないから、コンビニに寄ってから俺の部屋に連れて行った。
この仕事を始めてから一度だけ、潤を部屋に入れた事がある。
潤「相変わらず何もねぇな(笑)」
殆んど寝るだけの部屋だ。
物欲のない俺だから、物が増えるはずがない。
ソファに座った潤。
テーブルの反対側に腰を下ろし買い物袋を広げた。
潤「んで?どした?」
おにぎりを齧りながら、少しだけ心配そうな表情を浮かべるのは、優しい奴だからで。
俺はゆっくり口を開いた。
