たね
第1章 憧れの先輩が朝、廊下で髪に触れる。
ウルッのたね☆いってみよ~
( ^-^)ノ∠※。.:*:・'°☆
早朝から新店舗の品出しヘルプを終えて、出社する俺を見つけた係長が駆け寄ってきて───
「来た来たヤット来た…待ってたよ!ぁあのねぇ君ねぇチェーン店の店舗名と数量が一行ズレてて今皆で手分けして、回収と納品に回ってるから…あのぁの君も数量確認して、ぁの総数は大丈夫だったから!部長の小言は後で!とにかく急いで」
そう言いながら小走りで放れていった。
バタバタ
「誰だよ!チキショー」
「待って!待って!コレ持ってって!」
「アイツ連絡ついた?」
「直行するって」
「検定付の初日にズラスとかマジありえねぇ~」
このフロアに入った瞬間───
今朝はなんだか慌ただしいなぁ…何て思ってた。
別の科の人達まで駆り出され、これから幾つもの県を跨いで...。俺の知らない沢山の人達も…頭を下げて、駆け回る事に成るだろう…。
僕は「やっちまった」と呟いて動けずにいた。
「チッ!めんどくせぇなぁ…バーカ!へこんでる場合じゃねえ!行くぞオラァ!!」
俺に罵声を浴びせ通りすぎる先輩の背中が…今日は、いつも以上にカッコよかった...と、思う。だって涙が出そうで前が見にくいんだ…。
通りすぎる前に先輩は、あんな酷い捨て台詞を吐きながら…俺の頭をポンポンってするから...。
大きくて暖かい手で───