貴方の涙は俺が拭くから ON
第10章 吐き通せなかった嘘3 智
最後に吐いた小さなため息
もうその口元は笑ってなくて
泣くのを必死で我慢してるように への字に曲げられてる
そこにいるのは いつものクソ生意気なニノじゃなくて
芸能界の右も左もわからなくて、
こんな俺でも頼りにしてた13歳のニノみたいだ
下を向いた姿が 何だかいつもより小さくも見えたりして
「ごめん・・・」
つい 手を伸ばし、その頭を撫でてしまう
ハッと俺を見るその目が水っぽい
きらりと光る滴に見惚れた次の瞬間、
気が付いたら俺は ニノを腕の中に抱いていた