貴方の涙は俺が拭くから ON
第1章 スケッチブックに隠された秘密1 ニノ
辞めたいのは京都の舞台だけだよね
事務所を辞めて、どこか遠くへ行ってしまうような
ことはないよね
電話越しの貴方が ぐすんと鼻をすすった時には
どうして俺は今 貴方の隣に居ないんだろう、と
ヤキモキしたけど
一介の中学生に 深夜 京都まで走る術は無く
かと言って 涙声の貴方に掛ける言葉の
持ち合わせも無く
「・・・なんてな。はは・・」
無理して笑う 貴方の涙声に気づかないふりをして
貴方が本音を吐き出したりしないように 気を付けて、
敢えて バカな事ばかり言いながら過ごした日々