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雪に咲く花

第12章 亘のきずあと

雪斗は美紅と二人で夕食をとっていた。
美紅は高校卒業後、就職をし、事務職をしている。
自分のために大学を諦めたのではないかと気にする雪斗に姉は言ったのだ。
「大学いくのも教師になるのも年齢制限はないのよ。それに就職したのは自分のためでもあるの」
美紅が就職をえらんだのは、もう少し金がほしいこと、また教師を目指しているために人生勉強になるからだという。
家計に余裕が出てきたら、奨学金制度を利用して大学にいくつもりなのだと言った。
2つしか違わないのに自分より遥かに大人である美紅に感心していた。
「雪斗、どうしたの?箸が進まないわね」
「えっ……!ああちょっと考え事してて、なんか俺ってなんだかんだ言っても幸せなんだなって」
美紅にふいに声をかけられ、雪斗は思っていることを口にした。
「何よ?いきなり変な子ね」
「うん……。どうしたらいいのかなって思って……」

雪斗は、亘の生い立ちについて知ったこと、たった一人の母親の命が長くないこと、亘は母親を拒絶していることなどを話した。

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