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雪に咲く花

第12章 亘のきずあと

「あの……実は……その……」
どう切り出そうかもじもじしていると亘の母親の優子が言葉を出した。
「分かっているわ。あの子私に会いたくないって言っているんでしょう。私が過去になにをしたのかも聞いているのかしら?」
「優子さんっ!」
あわてて口をはさむ店主と同時に雪斗も迷いながら答える。
「あっ!はいその通りです。あのごめんなさい」
「謝ることなんかないのよ。私はそれだけのことをしたんだから、亘に憎まれるのは当然なのよ」
優子が寂しそうに雪斗を見た。
「あなたなら信用出来る気がするわ。嘘のつけない綺麗な瞳をしてるもの」
正直、どう話をしようか迷っていたので、彼女の方で気持ちを察してくれたのは有り難かった。
しかも、雪斗は初対面の者には「女の子みたいで可愛い」と言われることが多いが、瞳が綺麗だと言われたのは初めてだった。
初めて亘と出会った時のように心が軽くなるのを感じていた。
「あなたには、話をする必要がありそうね」
優子は亘との遠い過去を語りはじめたのだ。

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