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雪に咲く花

第12章 亘のきずあと

暫くして、椅子に座らされた雪斗がジュースをこぼしてしまい、海斗が側にあった布でテーブルを拭き取っていた。
すると美桜が悲鳴をあげて、海斗から布を取り上げたのだ。
なんとその布は美桜が刺繍をしていたものらしい。
美桜は泣き出して海斗に言葉をぶつけた。
「海斗の馬鹿!あんたなんて大嫌い!」
「なんだよ?あんなところにあったから雑巾だと思ったんだよ」
そんなやりとりの中、美紅は何事もないかのようにテーブルに並べられたご馳走を口にしていた。
「すごい放送事故だね」
雪斗は腹を抱えて笑った。
「もとはと言えばお前がジュースをこぼしたせいだぞ」
「しょうがないだろ!赤ん坊だったんだから」
ブラウン管の中には、両親が生きていた頃の幸せな思い出があるのだ。
思い出の動画によって、自分がどれだけ家族から大切にされて来たかが伝わってくる。
「あっ!そうだこの手があったんだ」
ふと雪斗は、この光景を見て思い付いたのだ。

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