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雪に咲く花

第16章 教師と生徒

雪斗は、亘が学校に来たばかりの頃、予想外に、亘との、すれ違いが多くなり颯人に愚痴ったことがある。
「颯人はいいな。同じ生徒同士だから変な気を遣わなくていいし、それに、颯人は誰と付き合っても文句言われないしな」
「そうでもないぞ。俺だって、あともう少しで卒業したら、歩を守ってやれないし、それに、あいつは家族と住んでるから、やりたいときにやれないしな。亘兄は、独り暮らしだから、色々と便利じゃないか」
颯人の言葉の意味は、すぐに理解した。
確かに、家族と住んでいない亘の家は、自由がきき、肌を重ねる時間もとりやすいのだ。
「簡単に心を開かない亘兄が、雪斗には、一番気を許してるんだぞ。自信持てよ。それに、卒業しちまえば、先生も生徒もないだろ」
「なるほど、それもそうだね。颯人って、普段は単純だけど、たまにはいいこというね」
「てめえ、それって誉めてるのか?貶してるのか?」

颯人に励まされ雪斗は、教師と生徒という、複雑な距離感を乗り越えることが出来たのだ。
颯人をからかいながらも、雪斗にとって颯人は自分を支えてくれる、かけがえのない親友だと感じている。

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