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雪に咲く花

第18章 崩れていく幸せ

その日から、雪斗は数々の嫌がらせを受けるようになった。
上履きに落書きをされる、
椅子に画ビョウを置かれる、
教科書やノートに落書きされる、
すれ違った途端に、腹を殴られ、疼くまった途端に蹴りを入れられることも、しばしばだった。
トイレに入れば、モップで突き飛ばされ、便器に顔を突っ込まれるなど、いじめは次第にエスカレートしていった。
「あの時に比べれば、このくらい大丈夫。颯人さえ帰ってくれば終わるんだから」
二年前、佐々木達にされた残酷な仕打ちに比べれば、まだましな方だ。
涙をこらえながらも自分に言い聞かせるしかなかった。
反抗して、歯向かうこともあったが、多勢に無勢で勝ち目の無い現実も、思い知らされているのだ。

昼休み、雪斗は、弁当を持って、裏庭に向かった。
教室で食べようとすると、弁当に黒板消しに染み付いた粉を入れられるなどのいたずらをされるので、チャイムが鳴ると同時に、すぐに教室を出たのだ。
裏庭のベンチに座ろうとすると、すでに先客がいるらしい。
恐る恐る近づくと、クラスメートの変わり者である黒沢が座っていたのだ。

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