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雪に咲く花

第18章 崩れていく幸せ

放課後になり、帰ろうとすると、雪斗を、率先して苛めている斉藤と、数人の男子に行く手を狭まれた。
斉藤は、粗暴で口の悪い、いじめっこタイプでクラスメート達からも疎まれている。
「なあ、お前って、本当に男か?」
斉藤はニヤニヤ笑いながら、雪斗の顔を見た。
「どういう意味だよ!?」
反発する雪斗の腕を、両側から男子たちが掴んだ。
「何すんだよ!?……離せよ!」
「男同士であんなことするなんて、実際は女じゃねえの?調べてみようぜ」
上着をめくりあげられ、ズボンのベルトを外される。
「嫌だ!やめろよ!」
彼らは、ズボンを脱がして下半身を露出させようとしているのだ。
女子たちもいる前で、そんな恥ずかしい格好をさせられたくない。
必死にもがいたが、腹に蹴りを入れられてしまった。
「うぐっ!……」
痛みで抵抗すら出来ない。
ジッパーを下ろされ、ズボンに手が、かかった時だった。
突然、2、3台の机が椅子ごと倒れかかり、バケツが転がり、水が床にばらまかれたのだ。
「なんだよ!?……危ねえなっ!」
見ると、黒沢が転んだのか、床に膝をついている。

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