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雪に咲く花

第18章 崩れていく幸せ

濡れた床を拭きながら、黒沢の顔をふっと見つめた。
ボサボサの髪と、厚い瓶底眼鏡のせいで、彼の表情は読み取れない。
「何……?」
黒沢が見られたことに気づくと、チラッと顔を向ける。
「あっ……。黒沢の眼鏡って、すごく分厚いんだね。外したら、どんなかなって思ってさ」
雪斗の言葉に、何も答えず、黒沢は立ち上がるとバケツを持って去っていってしまった。
床の方は、既に拭き終わっている。
「変なやつ」
彼の後ろ姿を見ながら呟いた。

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