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雪に咲く花

第22章 本物の悪魔

「あぁ、そこまで、ばらしちゃったか?まあ、君を追い詰めるには、彼は邪魔な存在だったからね。彼には可哀想だけど、暫くしゃしゃり出て来ないように、身体を傷めてもらったんだよ。予想より、重傷だったけどね」
まさか、亘や自分だけでなく、何の関係もない颯人まで巻き込むとは……。
光多の境遇には同情するが、卑劣な手を使って、人を傷つけるのは許せない。
次第に光多に、怒りと憎しみがわいてくる。
「酷いよ!颯人まで、それに亘にだって罪はないだろ!」
光多がふっと笑いながら、雪斗に顔を近付けた。
「君には、分からないだろうね。憎しみや、絶望、孤独の闇に、身体中覆われていった苦しみは……」
彼が、冷たい瞳で睨み付ける。
「全く、記憶にもないけど、あのたった一枚の叔母さんの写真だけが、癒しを感じる一時だったんだ」
再び、光多は語り始めた。
「写真の中の叔母さんは、僕達を優しく見守ってくれてたんだ。実の母も見せてくれなかった笑顔だった。その叔母を、あいつの母親が殺した……。母の言う通り、叔母があの女に殺されてなければ、ここまで苦しめられることはなかったかも知れないのに……」
光多が憎しみに満ちた瞳になり、拳を握る。

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