
雪に咲く花
第22章 本物の悪魔
彼にとって、亘の母が死なせてしまった叔母は、かけがえのない存在だったのだ。
可愛がってもらった記憶があるわけでもないのに、一枚の写真に映る叔母を、そこまで慕うのは、余程愛情に飢えていたのだろう。
「本来なら、叔母さんを殺したあの女を苦しめたかったけど、もう死んじゃったそうだからね。だから、息子である、あの男の全てを奪ってやるんだ」
「どうしてだよ!?亘は何も悪いことしてないのに……。亘だって充分苦しんだんだよ」
「苦しんだ?しっかりした里親にもらわれて、教師にまでなれて、おまけに、幸せそうに君とイチャイチャしていたじゃないか。人殺しの息子のくせに厚かましいんだよ。あいつは、僕の半分の苦しみも味わっていない。不公平じゃないか」
憎しみに埋め尽くされて、光多は怒りをぶつける場所をはき違えている。
今の彼には何を言っても無駄なのだ。
「さて、そろそろはじめようか?後は、好きなようにしてくれ」
「待ってたぜ。今日は心おきなく楽しめそうだからな」
光多に促され、斉藤達が雪斗に近付き、取り囲んだ。
可愛がってもらった記憶があるわけでもないのに、一枚の写真に映る叔母を、そこまで慕うのは、余程愛情に飢えていたのだろう。
「本来なら、叔母さんを殺したあの女を苦しめたかったけど、もう死んじゃったそうだからね。だから、息子である、あの男の全てを奪ってやるんだ」
「どうしてだよ!?亘は何も悪いことしてないのに……。亘だって充分苦しんだんだよ」
「苦しんだ?しっかりした里親にもらわれて、教師にまでなれて、おまけに、幸せそうに君とイチャイチャしていたじゃないか。人殺しの息子のくせに厚かましいんだよ。あいつは、僕の半分の苦しみも味わっていない。不公平じゃないか」
憎しみに埋め尽くされて、光多は怒りをぶつける場所をはき違えている。
今の彼には何を言っても無駄なのだ。
「さて、そろそろはじめようか?後は、好きなようにしてくれ」
「待ってたぜ。今日は心おきなく楽しめそうだからな」
光多に促され、斉藤達が雪斗に近付き、取り囲んだ。
