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雪に咲く花

第22章 本物の悪魔

亘は、黒沢とともに、タクシーに乗り込み、光多の家へと向かった。
雪斗の居場所は、あくまでも確かな情報ではなく、黒沢の推測にすぎない。
しかし、今は何よりも手がかりをたどりたかった。
やはり、今までのことは光多の仕業だったのだろうか?
電話の主は、おそらく彼だろう。
「それにしても、どうして雪斗の居場所が杉山君の所だと思ったんだい?」
「子供の頃、父と光多と三人で、吸血鬼の映画を見に行ったことがあったんです。その時父は話してくれました。吸血鬼は太陽の光を浴びれない。光多の名前は光が多いから吸血鬼をすぐにやっつけられるって冗談言ってたんです。だから、吸血鬼が溶ける場所って光多のことをさすんじゃないかって……」
「そうか。君の推理が必ず当たっていて欲しいな」

光多の家に辿り着いたとき、立派な豪邸であることに目を見張った。
しかし、家に来たものの、部屋の中を調べるのは不法侵入になる。
もし、光多の仕業でないとしたら、警察沙汰になってしまうだろう。
「参ったな」
亘が戸惑っていると、
「大丈夫です。僕に任して下さい」
と黒沢が言い、杉山家のインターホンを鳴らした。

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